ミックス・リスニングに最適なAKG製「K240 MK2」レビュー【セミオープン型】【モニター】【リスニング】
こんにちは、アマノケンシです。
今回は、前にご紹介したAKG K271 MK2を開放型にしたようなモデルである、同じくAKG製のK240 MK2についてご紹介・レビューします。
K271 MK2は比較的購入しやすい価格ですが、こちらのK240 MK2はさらに求めやすい価格です。2019/6/4現在、1万円を切る価格で購入できます。
K271 MK2とは異なり、リスニングと制作用途の両方におすすめで、特にミックスモニターとしておすすめなヘッドホンです。
外観や音質、使い心地といった観点からご紹介していきます。
K240 MK2の概要【スペック】
まずは公式HPから引用した仕様や付属品をご覧ください。
仕様一覧
ヘッドホンのタイプ セミオープンエアー
感度ヘッドホン 104 dB SPL/V
定格インピーダンス 55Ω
着脱式ケーブル あり
ケーブルの長さ 3m
交換可能イヤーパッド あり
オーディオ仕様
最大 許容入力 200 mW
再生周波数帯域 15 – 25000 Hzサイズ
https://jp.akg.com/K240MKII.html
長さ 110mm
幅 190mm
高さ 200mm
正味重量 240g
K240 MK2はセミオープン型のヘッドホンです。能率はK271 MK2と同一で、インピーダンスが55Ω、感度が104dB SPL/Vであることから低めです。HTCなどの優れたヘッドホン出力を持つスマートフォンであれば、そのまま利用できますが、iPhoneなどのヘッドホン出力の低いスマートフォンで利用する場合には、ヘッドホンアンプがあったほうが良いですね。
再生周波数特性はK271 MK2に比べると、K240 MK2のほうが低域側が広く高域側は狭くなっています。といっても大きな差ではなく、高域についても十分な広さです。
サイズ感や重量についても、K240 MK2とK271 MKでは大きな差はないですね。
K240 MK2も、K712 PROやK271 MK2と同じく、ケーブルが着脱式なのでリケーブルできます。当然端子は、ほかのAKG製品と同じくミニXLRなので、AKG製のさまざまな製品でケーブルを使いまわすことが可能です。
K240 MK2の外観
K240 MK2の外観は、基本的にK271 MK2に近い形ですが、カップの形状が異なります。ブラックとネイビーをベースとし、ロゴなどはシルバーのカラーリングというところまでは同じですが、セミオープン型で開放型的な特徴も持っているため、カップに通気口あり。しかしながら、ヘッドバンド中心に全体的なシルエットはほぼ同じですね。
側面に「55 ohms」の刻印があるところまで同じです。
実は人生で初めて買ったモニターヘッドホンがこのK240 MK2でして、学生時代から使っているため全体的にかなり劣化しています。当然ながら新品は綺麗なのでご安心ください。
箱や付属品は実家に置いているので載せられませんでした。お詫び申し上げます。
K240 MK2の音質【ピーク周波数】【分解能】
K240 MK2の音質的特徴として、まず低域は結構量感が多いです。リスニング用ヘッドホンのような過剰な出方ではないですが、モニターヘッドホンとしては十分な量感だと思います。低域の質については、特に中低域がルーズで輪郭はわかりづらいです。しかし不思議と分離はよく、キックとベースはしっかり分離して聴こえます。低域の中でも特に周波数が低い音は、中低域に比べるとタイトかもしれません。セミオープン型のため、低域の量に比べて圧迫感は少ないです。密閉型より開放型に近い鳴り方だと感じました。
中域は低域が多いためか、K271 MK2ほどはっきりは聴こえません。足りないわけではなく普通に聴こえます。分解能も十分。中域に特化はしていませんが、量感・分解能とも必要十分です。
高域については、かなり上まで出ているのに加えて、セミオープン型なので自然に抜けていきます。完全な開放型であるK712 PROに比べると、K240 MK2は少し密閉型的な雰囲気(こもり感)がありますが、高域も密閉型よりも開放型に近い鳴り方です。
なにかに特化したというよりは、全体的なバランスがよいヘッドホンだと感じました。比較的フラットに近い、緩めのドンシャリかもしれません。ピークも中低域寄りの低域にあるような…セミオープン型ですが、全体的に開放型的な鳴り方で、密閉型的な感じはあまり強くないように思います。
またK271 MK2では、中高域に歪みっぽくなる帯域がありましたが、このK240 MK2では感じません。ドライバ含めて構造が似ていると思うので不思議です。
あと実際の分解能は「そこそこ高いけど特筆するほどではない」といった感じですが、ぱっと聴いただけだと実際の分解能よりも高く感じます。帯域バランスが理由かもしれません。
周波数特性については前回と同じく、価格.comにHead Roomの周波数特性測定グラフを貼ってる方がいましたので、そのまま利用します。K240 Mk2は、K271 MK2と比べるとかなり低域が多いですね。実際に聴いた印象と同じです。
使い心地は?
着け心地や装着感が大変いいです。側圧が適度に緩く、長時間つけていてもまったく疲れません。またセミオープン型であることに加えて、高域もキツくないので聴き疲れとは無縁です。一方、セミオープン型ゆえに遮音性は低く、音漏れが大きいので、屋外での利用は控えたほうがよいでしょう。
どんな人に向いてる?【ミックス】【リスニング】
緩やかなドンシャリであることに加えて、聴き疲れもしないため、リスニングで使ってもいい感じだと思いました。全体的にタイトすぎないので、リスニング用としてちょうどいいです。リスニング用ヘッドホンに比べれば味付けは薄いですが、素力が高く味付けが薄い分苦手分野がありません。いろいろなジャンルの曲を聴く方は、リスニング用ヘッドホンとしてK240 MK2を購入することを検討してみてください。
制作用途では、遮音性が低く音漏れが大きいことに加え、中低域がルーズなので、録音モニターには向きません。エレキギターなら使えるかもしれませんが、エレキベースで使うのはおすすめしませんし、ボーカル録音時には音漏れが気になります。一方、ある程度高い分解能があり、セミオープン型ゆえに聴き疲れしないことや音場が大き目なことから、ミックス用として大変優秀です。中低域のルーズさも捉え方によっては、ラージモニターを鳴らしている感覚に近いのかなと思うので、ミックス用としては積極的におすすめできます。K240 MK2の弱点である、低域の輪郭が確認できるモニターヘッドホンやイヤホンと併用するとベターです。
制作用ヘッドホンとしてもリスニング用ヘッドホンとしてもコスパ良好です。ミックス用のモニターヘッドホンを探している人はぜひK240 MK2を検討してみてください。特に長時間作業する方におすすめです。
まとめ
AKG製のセミオープン型スタジオモニターヘッドホン「K240 MK2」について、ご紹介・レビューしました。
- 低域は量感は多く分離がいいが、中低域は若干ルーズな質感
- 高域も十分伸びていて、密閉型より開放型に近い鳴り方
- 遮音性が低く音漏れが大きいので、録音モニターとしてはおすすめしない
- 聴き疲れしないことや音場が広いことから、ミックス用としておすすめ
- 多ジャンルの音楽を聴く方には、リスニング用としてもおすすめ
こちらのK240 MK2もK271 MK2と同様に、昔に比べて値下がりして求めやすい価格になっています。ミックス用モニターをお探しの方と、リスニング用ヘッドホンをお探しの方はぜひ検討してみてください。
また、同じAKG製ヘッドホンの「K712 PRO」についてレビューしていますので、よろしければこちらも読んでください。
ほかにもいろいろなヘッドホンをレビューしていますので、よろしければご覧ください。
販売ページへのリンク
K240 MK2はさまざな店舗で購入できますので、抜粋してAmazonとSOUND HOUSEのリンクのみ。
AKG K240 MK2のSOUND HOUSE商品ページへのリンクは、以下の画像です。